鍾馗さん

  哲学の道周辺は、この疎水分線よりも、はるかに古い歴史を持った地域です。今回は、近辺の民家の玄関付近にある鍾馗(しょうき)を探してみました。京都の人は、普通「鍾馗さん」と呼んでいます。

鍾馗さんの歴史は、諸説あるようです。中国の昔、楊貴妃との恋で有名な玄宗皇帝が高熱で寝込んでいた時、夢に現れて悩ませる小鬼を退治したのが鍾馗さん。以降、道教において鍾馗さんは魔除けの霊力を持つものとして信仰を集め、日本にも伝わりました。日本では、魔除けに火除け、病気快癒と様々な効力を期待されています。

奈良県・滋賀県にも多い鍾馗さんですが、その多くはお寺付近だそうです。これは、お寺はその霊力で、魔物や鬼などを跳ね返すのですが、跳ね返ったあとに、周囲の家に飛び込んでくるので、鍾馗さんを置いたというものです。また鬼は、直進のみで、曲がれないので、道の突き当りの家に鍾馗さんは多いのだそうです。京都では、お寺周辺や突き当りに限らず、家の戸守り(魔除け)として広まったようです。「鍾馗さんを探せ」(小澤正樹さん著 淡交社)という本から引用しました。以下も参考にさせてもらいました。

① 14.11.29 (2)鍾馗028A型 喫茶トライアングル大前宅 銀閣寺町

  哲学の道周辺で多いのは、銀閣寺の参道です。今のところ7軒のお宅で見ています。
  写真の鍾馗さんは、前述の本のナンバー28とたぶん同系のもの。京都には多いそうです。(ここでは勝手に028A型と呼びます)あと1軒にも同じものが。右手に剣、左手は腰紐をギュッが基本スタイル。
②A 14.11.22 (44)鍾馗さん028B型 大前一郎兵衛宅 銀閣寺町38 - コピー
ところで、鍾馗さんは家のどこに置いてあるかわかりますか?そうです。エアコン室外機の隣。玄関の上、小屋根あたりが多いですが、色々です。サイズは15~20㎝程度です。
②B 14.11.29 (34)028B型 大前允人宅(一朗兵衛)銀閣寺町38
写真をアップにしてみましょう。これは、先ほどの028型に釉薬をかけて焼いたもののようです。(勝手に028B型) 顔と手は素焼きでしょうか。
 ③ 14.11.29 (21)016型素焼き? 中村九衛門宅 銀閣寺町
  028型は、右足を一歩前に出し、ポーズを決めていましたが、これは、やや直立タイプ。かなりしかめっ面をしています。素焼きなのか釉薬がはがれたのかは不明です。(016型)
④ 14.11.29 (18)鍾馗 安西みたらし銀閣寺町66
同じ直立タイプで、もう一つ。右手の剣も下に下げているし、顔も怖そうではありません。剣よりも言葉で鬼を説得する理論派タイプ?

⑤ 14.11.29 (11)鍾馗038型 井上喜栄治宅銀閣寺町67

直立ですが、仁王立ちといった感じ。顔や髭、身体もデカく圧倒されますが、どこかやさしげですね。(038型)
⑥ 14.11.30 (12)鍾馗 村田宅 桜谷町
これは、桜谷町の鍾馗さん。大豊神社と霊鑑寺・安楽寺を結ぶ古くからの道沿い。家を改築されると、鍾馗さんを外される場合が多いようですが、このお家では、改築後も設置されています。新しいです。この鍾馗さん、かわいい顔ですね。今風なんでしょうか。
⑦ 14.11.29 (93)鍾馗 若王子参道 樋口宅
  銀閣寺参道と並んで、いやそれより古いのが、熊野若王子神社の参道です。2軒でのみ見つけました。動きはダイナミック!顔の後ろは、髪でしょうか?雲かな?鼻や眉毛が大きく独特なポーズですね。この参道の2軒目は028A型でした。
  鍾馗さんは、個人宅の玄関付近です。ジロジロ見たり写真を撮っている姿は不審者に近いです。お家の方が出てこられた時は、ご挨拶し了解を得ましょう。その時に鍾馗さんにまつわるお話しなど聞けると、楽しいですね。

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